千葉県千葉市中央区新宿2丁目12−1
Periodontal Treatment Flow
基本的には以下のような流れで
歯周治療を行います。
大切なのはこの治療プロセスです。
プロセスのどれか一つでも欠けると、歯周治療は成り立ちません。
その理由を順に説明していきます。
検査は歯周病の原因を明らかにすることが目的です。
歯周病は歯周病菌によって引き起こされるのは事実ですが、進行を助長する因子が隠れているかもしれません。それは生活習慣、既往症、噛み合わせなどの問題が歯周病の進行に関わっている可能性もあります。
問診やカウンセリング、口腔内検査によって歯周病の原因や歯周病の進行因子を明らかにすることが適切な治療計画の立案に繋がるため、治療の成功を左右すると言っても過言ではありません。
また、詳細な情報があることで患者様へのご説明の精度が高くなります。
患者様の理解、同意を得るための納得感にも繋がりますのでとても重要です。
歯肉炎、歯周炎に関わらず、まずは歯周基本治療からスタートします。
歯周基本治療は名前の通り、基本的な治療方法です。
この治療がしっかりと行えれば、概ね歯周病は改善していきます。
歯周病の原因は歯周病菌です。
この歯周病菌はバイオフィルム(プラーク)に包まれているため、徹底して除去していきます。また、歯石はバイオフィルム(プラーク)にとって格好の活動場所になるため、歯石も必ず除去する必要があります。歯肉縁上(歯肉の上)歯肉縁下(歯肉の中)の双方をSRPという方法で歯科衛生士が丁寧に除去していきます。
歯科衛生士より歯ブラシの処方を受け、プラークコントロールを習得していただきます。目的はバイオフィルム(プラーク)の除去です。磨き方や歯ブラシの持ち方云々ではなく、しっかり除去することに軸足を置いていただきます。
歯周治療に患者様の参加は必須です。二人三脚で頑張りましょう。日々の努力は必ず実を結びます。
歯周病の進行度合いによっては、グラついている歯を固定することがあります。主な目的は、以下です。
歯周基本治療では大事な治療プロセスの一つですが、病状が改善するまでの間に行います。最終的には固定をしなくても機能するように、治療を進めていきます。
歯を残すことを最大限に考えますが、残念ながら歯を残すことが後々問題になることがあります。
それは他の歯へ悪影響を及ぼしたり、歯周病菌が全身に流れ続けるリスクがあるからです。
歯の保存可否をしっかりと判断することも歯周治療にはとても重要であることをご理解ください。
歯周基本治療を終えたあとは、再度歯周病の検査を行います。
歯周ポケットの深さ・出血の有無・動揺度など初診時に行った歯周組織の検査によって、初診時の検査結果と比較します。
それにより、改善状態を把握することができます。
再評価の結果に応じて次のステップが決まります。この再評価時にはその状況に応じた新たな治療計画を立案します。
検査結果や治療計画について十分に患者様へお伝えし、理解と同意を得ながら治療を進めていきます。
再評価の結果、歯周ポケットの奥深くに歯周病の原因となるバイオフィルム(プラーク)や歯石が溜まっていることで、改善が見られない場合に「歯周外科治療」を行います。
歯周外科治療には大きく分けて3つの治療があります。
これらはそれぞれ目的が違いますので下記でご説明します
麻酔を行った後、歯肉を切開し歯根面が見えるようにします。
目的は、歯周ポケットの上からアプローチしても届かなかった部分に蓄積したプラークや歯石を取り除くことです。歯肉を切開することで、問題点を目視で治療することができます。
治療後は縫合し、1週間程度様子を見て抜糸をします。
お痛みが出る場合もありますので、痛み止めや化膿止めを服用していただきます。
失われた歯周組織の再生に期待する治療方法が、歯周組織再生療法です。
歯周組織再生療法にはGTR法(歯周組織再生誘導法)と呼ばれる特殊な膜を使用した治療とエムドゲイン®と呼ばれるタンパク質の一種を主成分とする材料を用いる方法が代表的です。
歯周組織再生療法は、誰にでも適応する治療法ではありません。
重度の骨吸収(歯槽骨がかなり溶かされている)が認められる場合は、効果を得ることは難しいです。
失われた歯周組織の再生に期待する治療方法が、歯周組織再生療法です。
歯周病が改善すると歯肉が引き締まりますが、歯肉が下がったように見えたり、歯と歯の隙間が気になるなど審美的な問題が発生します。その審美的な改善を目的とした治療が歯周形成外科です。
また、歯肉の形態を整えることができますので、ご自身でのプラークコントロールがしやすくなるメリットもあります。根面被覆術(結合組織移植)や遊離歯肉移植など目的や状態に応じて歯周形成外科の種類を選択していきます。
この歯周形成外科は歯周病を改善させる治療とは別の目的となります。歯周組織再生療法は、誰にでも適応する治療法ではありません。重度の骨吸収(歯槽骨がかなり溶かされている)が認められる場合は、効果を得ることは難しいです。
歯周外科治療後に再度歯周組織の検査を行います。
前回の再評価と同じように、治療部位の改善状態を確認します。
その後は治療計画を再構築します。再構築の観点は3つに分かれます。
それぞれの分かれ道を下記でご説明します。
検査した際に歯周ポケットが3mm以下で出血が認められない場合、歯の動揺も許容範囲内であれば治癒と診断され、メンテナンスに進みます。
メンテナンスでは、再発予防のため定期的に歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングとブラッシングのフィードバックを行っていただきます。
歯周外科治療を行っても歯周ポケットが4mm以上残ってしまう場合があります。
歯周病の進行が抑えられていると判断した場合は病状安定と診断され、サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)といって、歯周組織の安定した状態を維持するための治療を継続的に行っていきます。
歯周病が原因で口腔機能が失われてしまった場合は、機能回復を目的とした治療を行います。失われる機能は、噛み合わせや咀嚼機能、審美性や発音機能です。
これらを回復するため、噛み合わせ治療や補綴(クラウン・義歯・ブリッジ)や歯周補綴、矯正治療、インプラント治療、審美修復治療を行います。
上記で説明していますが、歯周病によって失われてしまった口腔機能回復を目的とした治療を行います。
矯正治療や噛み合わせ治療がなぜ必要なのか?と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんので、下記でご説明します。
叢生などの不正咬合があると、特定の歯に大きな負担がかかります。
負担がかかることで起こる咬合性外傷(噛み合わせが原因で歯槽骨が溶ける)の原因となったり、炎症を引き起こした場合に垂直的に歯槽骨が溶かされてしまい、抜歯をしなければならなくなります。当院では矯正医が在籍しておりますので、咬合性外傷を考慮した治療が可能となっています。
噛み合わせは先程説明した矯正治療と同じような目的で、咬合性外傷から歯を守るために重要です。適切な顎位でなければ、咬合性外傷の他にも歯根破折や関越円盤のズレなどの問題が発生してしまいます。顎関節に調和した治療が大切です。
不良補綴物は歯周病のリスクとなります。
理由は、歯冠修復物の盛りすぎ(オーバーハング)や歯肉縁下のマージンが適切ではないことでバイオフィルム(プラーク)が停滞し、歯周病の原因となりうるからです。したがって、細心の注意を払って補綴物を作成しなければなりません。
歯周治療後に歯周ポケットが5mm以上残っている場合、プラークコントロールが不良な場合はインプラント治療を行いません。
理由としてはインプラント周囲炎のリスクが高くなるからです。それらのリスクヘッジをし、義歯など他の治療法と十分検討を重ねた上で治療を行いましょう。
インプラントの埋入を決断したとしても、安全にインプラント手術が可能であると判断したあとにすることが、インプラントを長期的に維持するための重要なポイントになります。
口腔機能回復治療後に、再評価を行います。
結果としてメンテナンス及びSPTに移行して良いと判断されたら、それぞれのステップに進みます。機能回復治療をすると噛める、審美的な問題の解決など、満足感と充足感がやってきます。
一方で、歯周病はまた再発してしまうので、ここからが再スタートだと思っていただき、今度は歯周病から歯を守っていきましょう。
治癒と判断されるか病状安定と判断されるかによって呼び方が変わりますが、いちばん大切なのは歯周病から歯を守り、再発させないこと。
そして、回復した機能を長く維持することです。
そのために、定期的に歯科医院でチェックを受けること、プロフェッショナルクリーニングを受けることが大切です。
また、患者様のプラークコントロールはとても重要ですので、ご自宅でのセルフケアも頑張っていただきたいです。
不安なことがあれば、定期検診の間隔に限らずご連絡ください。
岩井デンタルオフィスでは、歯科治療のセカンドオピニオンを受け付けております。
第三者の目線から公平に判断し、患者様の不安点を解消できるよう努めています。